「ポットコミット」とは?コミットする理由・意味を詳しく解説
自分のスタックが少なくなってきたトーナメント中盤や終盤によく聞く考え方が「コミットする」というもの。
ポーカーはチップを奪い合うゲームですので、ハンドの強さなどよりも、チップのやり取りの方が非常に大事になってきます。
弱いハンドでも相手をフォールドさせるとチップを大量に得ることも出来ますし、強いハンドでもすぐにフォールドされると意味がありません。
チップをやり取りする中で、オッズ計算などで自分が割に合う勝負はしていく必要があるのです。
ポットコミットとはそんなチップのやり取りの中で生まれる考え方なので、特に初心者は絶対に知っておくべきことです。
今回はコミットする状況や、一連の流れを考えるコミットプランなどを詳しく解説していきます。
コミットとはどんな時に使うもの?
コミットとはコミットメント(Commitment)の略で、日本語では「責任、約束、参加」などの意味をもっています。
正確な日本語訳は難しいですが、意味合いからすると、ここまで来たのであれば責任を持って参加するということになりますね。
実際にはちょっと違った意味があり、テキサスホールデムでコミットしたとは、チップを入れすぎてフォールドすると損になる状態のことです。
降りることが出来ないわけではなく、割に合う勝負を自ら投げ出すことはしないよね?と言ったほうが初心者には分かりやすいかもしれません。
このコミットした状態のことをポットコミットと呼び、コミットしないようにベット額を決めることがコミットプランということですね。
特にオールインをするか否かな微妙なラインのスタック量、3BETPOTなど膨らみやすい状況では、この考え方は非常に重要になってきます。
またこのコミットは、オッズ計算・必要な勝率の概念をあらかじめ知っておく必要があります。
ですので、正確にオッズ計算やなぜオッズコールが必要なのか分からない人は、ぜひこちらの記事から先に見てから進め読みしてください。
⇒ポーカーのオッズ計算・オッズコール・必要勝率・アウツの考え方
ポットコミットする状況を解説
では実際にコミットする状況を考えてきますが、リングゲーム・キャッシュゲーム想定であなたのスタックが残り15BBほどになっていました。
このようにHJから3BBのオープンレイズが入った状況で、あなたのハンドには「AKo」が配られてかなりチャンスな状態となります。
当然3BETを打つハンドですが、通常だと3倍~4倍ほどのリレイズがセオリーなので、ここで12BBの3BETを選択したとしましょう。
SBとBBはフォールドを選択、そしてHJのプレイヤーはコールを選択してフロップに進みました。
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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POTにはお互いの12BBに加えて参加費で25.5BBが溜まっている状態で、フロップは滑った上で考えうる限り最悪のボードになりましたね。
ここで先にアクションをするHJから3BBのオールイン要求が来た場合コールできますか?
オッズ計算が必要になる場面で、自分が受けた際には3BBに対して合計のPOTは31.5BB、オッズは10.5倍となり、勝率が10%あるならコールするべき状況になってしまいました。
これはオッズコールになるのですが、この状況を作り出したのは自分で、現時点で負けてそう、勝率がかなり低そうでもコールすることが割に合ってしまうのでコミットした状態です。
結局どうするべきだったというと、プリフロップの時点でオールインすべきでほんの少しチップを残しても意味がないのです。
これは分かりやすい状況なので多くの人はオールインを選択すると思いますが、もうちょっと複雑な打ち合い、ブラフなどをする際にもコミットする状況は非常に絡んで来ます。
いつの間にかコミットしてしまう状況
さて、では先ほどと同じポジションやハンドで、今度はある程度スタックにも余裕がある30BB持ちを想定して考えましょう。
相手も30BB持っている状態で、あなたは今回10BBの3BETを選択することにして、残りのスタックも20BBある状態と余裕がありますね。
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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フロップでは先ほどより優しいボード、POTには21.5BBが入っている状態で、相手のHJはチェック、あなたは強さをアピールする7BBのCBを打つことにしました。
相手はこれに対してコール、POTが更に膨らんで、35.5BBが入り獲得できるチップ量も大きくなってきます。
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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ターンではQが落ちて、相手のQヒットの可能性は低くなりましたが、引き続きノーヒットの状態でHJはまたもやチェックを選択。
相手がヒットして無さそうだなと思い、あなたはターンも10BBほどのベットをしたところ、相手から待ってましたと言わんばかりのオールインが飛んできました。
20BBからフロップで7BBを打ち、ターンで10BB打ったのでバックスタックは3BB、またもやオッズが合う状態、コミットしてしまったのですね。
30BBと持っていそうに見えますが、3BETが絡んだPOT額は非常に大きくなりやすく、ベットサイズを見誤ってしまう可能性もあります。
初心者がミスしやすい部分となりますが、フロップの時点でPOT額と残りのスタックが同額の状態になったので、実はオールインorフォールドの覚悟が必要になる戦いなのです。
相手もそれを分かっている場合、フロップのCBに対して、オールインして攻めてくることもありますし、逆に自分からオールイン入れてしまう作戦も正当化される状況です。
入賞やインマネが絡むと考え方が変わる?
このオッズコールやポットコミットで注意すべきことはトーナメントの入賞ラインですね。
例えば100位で入賞することが目的のトーナメントで、101人残っている場合、あと1人飛べば入賞という状況はどんなトナメでも存在します。
ICMやバブルファクターと呼ばれる考え方なのですが、要は飛ばないことが大正義になるのです。
オッズ自体は合うのですが、飛んでしまっては入賞を逃してしまうので、残りわずかでもチップを残すことが正解となるので注意しましょう。
実際には微妙なラインが多く、このようなトーナメントでの押し引きは数学的にもかなり複雑で難しい状況になります。
分からない場合は、強めのハンドでも3BETしない、そもそも参加しないなど、戦う以前に工夫が必要だと覚えておいた方が良いですね。
割に合う勝負、コミットした状態でも、チップ獲得の期待値で考えるとプラスなのですが、飛んで失う入賞の価値がデカすぎるということです。
これにより立ち回りは大きく変わるので、自分がどんな状況で何を目的としてポーカーをしているのか、常に意識して戦ってみてください。
コミットする前に決断を!
ポットコミットの考え方、注意点をお伝えしましたがいかがでしたでしょうか?
事前にコミットしないように立ち回ることも大事で、更にレベルの高い人向けでは「SPR」という考え方が大事になってきます。
あくまで初心者に向けて、ザックリとした考え方を順序よくお伝えしているので、こちらでは触れていません。
自分のハンドが強い・弱いに関わらず、テキサスホールデムでは持ち込んだチップ量、獲得できるPOTの計算は必須となります。
オッズ計算でもお伝えしていますが、この辺が分かってくるとブラフをする意味、どのくらいのベットサイズが良いのか何となく見えてきます。
僕も全てを把握しているわけではありませんが、自分のスタックが少ない状態での戦い方は普通より慎重にやってみてください。