Equity(エクイティ)、EV(期待値)の違い、エクイティの確保・実現させるとは?
ポーカーを学んでいくと正しく理解しておくべきことがどんどん増えていきます。
そんな中でも少し分かりにくく、僕も理解するのに苦労したのがエクイティやEVの考え方です。
正確にこれらの違いを理解して、人に説明出来るレベルまで把握している人は、特に経験が浅いプレイヤーでどのくらいいるのでしょうか。
エクイティは何となく分かっても、期待値は様々な場面で使われる言葉であり、考え方が身につくまで時間がかかるかもしれません。
今回はそんなエクイティ、期待値の違い、そしてよく聞くエクイティを確保する・実現させる・奪うなどの細かい意味を解説していきます。
初心者でもなるべく理解しやすいように難しい言葉は使わずに書いていますので、ぜひ最後まで読んでいってください。
Equity(エクイティ)とは?
エクイティ(EQUITY)とは、投資やビジネスで良く使われる用語で、日本語では「純資産価値、株主資本」などの意味で、資産価値から負債を差し引いて残る額のことです。
簡単に言えば、現時点でどのくらいの価値を自分が得ることが出来るかということになります。
テキサスホールデムの場合は、現在の勝率でポットのチップ量のどのくらいを獲得できる可能性があるかを数値化したものですね。
例えばポットに$100があり、予想される勝率が60%だとした場合、あなたの取り分は現時点で$60という考え方です。
色々と難しい言い回しされていることは多いですが、勝率=エクイティと考えて問題ありません。
もちろんこのエクイティは、プリフロップ、フロップ、ターン、リバーとボード状況で常に変化していきます。
EV(期待値)とは?
期待値(Expected-Value,EV)とは、ある試行を繰り返すことで、得ることの出来る値の平均です。
この得られる値が確実ではなく、期待できる、予測であるということが難しい考え方です。
例えばじゃんけんで相手が完全にランダムでグー・チョキ・パーを出す状態、1回勝負する参加費が100円、グーで勝つと600円貰える勝負があったとしましょう。
この場合、あなたは永遠にグーを出し続けることで、3回に1回は600円を獲得できるので、3回参加すると+300円、1回あたりは+100円が期待値となります。
仮にパーで勝つと500円、チョキで勝つと300円など条件があったとしても、波や偏りなど関係なく、稼ぐことを目的とするならグー以外絶対に出してはいけません。
ポーカーにおきかえると様々な条件が絡むので難しいのですが、長期的にプラスになるようなアクションを心がけること、見えない期待値をプラスにし続けることが勝つためには必須となります。
エクイティと期待値の違い
エクイティはハンドの勝率、よく配信やライブなどでパーセント表示されているもので、あくまで現時点での勝率であり、フロップ・ターン・リバーと1枚開くごとに状況は変わります。
それに対して期待値は、相手がフォールドしてくれることも加味した上で、どのくらいPOTを獲得出来るのかを表した数値なのです。
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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例えばザックリとPOTには10BBが入った状態で、あなたがSBからオープンレイズ、BBがコールした状況で考えてみましょう。
せっかくの「AKo」ですが、滑った上にウェットボードで相手のフラッシュも警戒する場面、普通はベットしていくことは難しいでしょう。
アプリのオッズカリキュレーターに入力してみると、エクイティは現時点で25%となっています。
あなたは10BBポットに入った額の2.5BBは得られる可能性があるという考え方ですね。
ただ、あなたが大きくベットして、相手が8割フォールドしてくれると考えればどうでしょうか?
数学的な正しさは考えないものとして、あえて大きな10BBのPOTベットをしたとしましょう。
もしこれを受けられると負けだと仮定するならば、2回は10BBを余計に払って負けますが、8回はPOTの10BBを獲得できるということ。
これって実はお得な行動であり、自分のハンドや相手のハンド関係なく、10回同じことをやれば60BBも増える計算なのです。
1回あたり6BBも増やせるアクション、勝率が低いなど気にせず、このプレイをやり続けることが正解になるでしょう。
ただもちろん相手も機械ではありませんので、何度も続けると対策され、コールやレイズを増やさせるから、一概にずっと期待値がプラスとは言えないのが、ポーカーの難しいところです。
エクイティの確保とは?
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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エクイティの確保とは、現時点での貰えるチップを手放さないために相手をフォールドさせる意味で使われます。
一番分かりやすいのが、ボード3枚が開いたフロップで攻め手側が打つCB(コンティニュエーションベット)ですね。
相手をフォールドさせることが目的のベットなので、フォールドエクイティを確保するベットなどとも言われます。
相手にあるエクイティを奪うアクションであり、自分のエクイティが確保されるということ。
上のようなハンド、ボードであなたがオリジナルレイザーだった場合、ノーヒットの相手を降ろすためにCBを打つことが多いです。
あと2枚が開いて逆転されることも大いにあり、相手にフリーカードを与えないためにも、当たっていないから絶対チェックではなく、ある程度の頻度でベットすることは必要になるでしょう。
エクイティの実現とは?
あなたのハンド | 相手のハンド |
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ボードのカード | |
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エクイティの実現とは「Equity-Realization」と英語では呼ばれ、勝率通りにどのくらいショーダウンまでいけるかという考え方です。
先ほどまでお伝えした通りで、ハンド自体やハンドレンジでの勝率は分からない状態なので、実は勝っていても降ろされることが結構あります。
特に難しいのはローポケなどで、ポケットペアはオールイン勝負など、プリフロップ時点では勝率50%前後がほとんどですが、フロップ以降はその勝率を実現させることは難しくなります。
このように5ポケでオープンレイズ、それに対してコールされ、どうするのこれ?という状態になること多いのではないでしょうか。
ここで大事なのは自分にポジションがあるのかどうか、BTNからのオープンでSBやBBのアクションが先だと、チェックアラウンドでショーダウンまで行ける可能性も高くなります。
逆に自分がポジションがない状態だと、チェックした後にベットされ、泣く泣くフォールドせざるを得ない状況になるかもしれません。
実力差があると期待値で考えること
テキサスホールデムの面白いところは、数学的に正しいとされるプレイを淡々とやる人は意外と少ないということ。
そのため初心者でも上級者を翻弄して大きく勝つこと、トーナメントで優勝することも全然あり、誰にでもチャンスがあると言われるのですね。
それがまた面白いですが、セオリーを知った上でそのセオリーから外れた人を見極めて、エクスプロイトすることもまた実力のうち。
圧倒的な経験者が相手だとしても、真っ向から数学的正しさで勝負すると、期待値がマイナスの行動になってしまうのです。
この辺の感覚は難しいですが、ハンドの勝率だけでなく、どのプレイヤーとどんな風に戦えば良いかを考えることも重要ということ。
エクイティも大事ですが、期待値がプラスであろうプレイを臨機応変に見つけていくことが、安定した勝ちに繋がると個人的には考えています。