ルースにコールして大きな利益を!「インプライドオッズ」の考え方・計算
テキサスホールデムではハンド同士の強さよりも、チップをいかにして増やしていくかが非常に重要です。
大きくプラスになる局面が多ければ多いほど良いですし、基本はコツコツ期待値をプラスにしてハンド数をこなしていくことが主な勝ち方ですね。
GTO通り、オッズ計算に基づいて正確にプレイすることは当然大事ですが、それ通りにプレイできている人のほうが圧倒的に少ないです。
そんな環境では相手次第でプレイスタイルを変える必要がありますし、相手が何でもコールしてくれるのであれば参加する価値があがるハンドは増えてきます。
今回はそんな環境で戦う際に考えるべきインプライドオッズについて詳しく解説していきます。
目の前にあるオッズ計算だけでコール・フォールドを決めるのではなく、その後のアクションも重要ということです。
インプライドオッズとは?
インプライド(IMPLIED)とは日本語で、「暗黙の、隠れた」という意味があります。
テキサスホールデムにおけるインプライドオッズとは、現時点ではなく、強いハンドを作るカードを引き当てた際に獲得出来るチップも合わせて計算する方法です。
普通のオッズ計算でギリギリ降りる状況でも、例えばストレートドローやフラッシュドローを引けた際の貰えるチップを想定し、継続して戦うことです。
これは相手が最終的に大きな勝負に乗ってくれるのかも把握しておかないといけないため、相手の癖や想定ハンドなど上手く想像して使う方法になります。
インプライドオッズは上級者同士というよりも、どちらかと言えばタフコールしてくれるプレイヤー、初心者に対してプラスになる考え方ですね。
極端な例だとAAやKKなどのハイペアは所詮ワンペアですが、どんなにウェットなボードでもフォールドしない人は最後までコールしてくれます。
ちょっとコールしすぎと感じることはあるかもしれませんが、引けたときの恩恵が多いほど期待値がプラスになるのです。
実際にハンドやボードを見てから、どのような計算をするのか詳しく見ていきましょう。
タフコールする局面
100BB持ちのキャッシュゲーム想定、COからの2.5BBオープンレイズに対して、あなたがBBでコールした状況で考えてみましょう。
今回はあなたがドロー系のハンドを持っている際に、相手のベットにどこまでついていけるかが、インプライドオッズの考え方になります。
あなたのハンド | 相手のハンド |
---|---|
|
|
ボードのカード | |
|
まずはこのようなハンドとボード、あなたはフラッシュドローになりましたが、相手はトップヒットのトップキッカーでかなり強い状態ですね。
フロップのアクションはBBのチェックに対して、33%の小さなCBが推奨される局面ですね。
これに対してあなたのフラッシュドローはレイズよりも、基本的にはコールで対応します。
フラッシュが完成したとしてもナッツではないですし、もう少しブラフよりなガットショットのハンドやセットなどの強い部分を混ぜてチェックレイズする形がおすすめで、今回のハンドはコール止めされています。
小さいCBに対してなので、特にドロー系やワンペアは間違いなくコールする局面ですし、ここまではオッズ計算などするまでもありません。
問題は2発目もちょっと大きめに打たれた場合どうするかという部分がポイントですね。
あなたのハンド | 相手のハンド |
---|---|
|
|
ボードのカード | |
|
ターンのカードではフラッシュが完成することなく、ハイカードでも当然負けている状態なので、現状勝っている可能性はゼロに近いです。
ここで相手のトップペアやAハイなどは、多少大きめにベットすることで、下ポケやドロー系に対してオッズを合わなくさせてフォールドさせるプレイが多くなりますね。
赤が濃い色であることは、ベットサイズは50%以上のことが多く、BBのハンドはそこまで強くないことが想定されるので小さく打ってコールされるより大きく打ったほうがお得ということです。
実際にこのボードではストレートもフラッシュも完成していないので、負けているところはそれぞれのセットしかありません。
少し見にくいですが、「AQo」の場合、どのマークを持っていたとしても多くの場合はPOT75%ベット、もしくはPOTオーバーの125%ベットなどが推奨されます。
ここまで大きく打たれた場合、普通はドロー系もフォールドせざるを得ないのですが、ここからはオッズ計算が大事になってきます。
オッズ計算とここまでのPOT額
・COの2.5BBレイズにBBコール(POT5.5BB)
・フロップ1.5BBのCBにコール(POT8.5BB)
・ターンで相手から大きめベット
8.5BB+6BB+6BB=20.5BB
6BB÷20.5BB=必要勝率29%
8.5BB+10BB+10BB=28.5BB
10BB÷28.5BB=必要勝率35%
せっかくなので2パターンのベットサイズでオッズを計算してみましたが、このように大体ですが30%~35%くらい勝っている見込みがないと、ターンでフォールドが自然なわけです。
今回のフラッシュドローの場合、リバー1枚で当然そこまでの勝率はありません。
オッズカリキュレーターにて計算しましたが、このように現在での勝率は20%、フラドロ系はほとんどがここでギブアップとなります。
ですがこの判断、アクションを覆すのがインプライドオッズの考え方になります。
インプライドオッズの計算方法
あなたのハンド | 相手のハンド |
---|---|
|
|
ボードのカード | |
|
さて、肝心のインプライドオッズ計算方法ですが、先程のオッズ計算にリバーで取れるチップをあらかじめ加えたものがインプライドオッズになります。
例えばですが、もしフラッシュが完成した場合は平均してあと30BBくらいは取れるだろうと見込んだ場合で見ていきましょう。
・6BB(75%ベット)
8.5BB+6BB+6BB+30BB=50.5BB
6BB÷50.5BB=必要勝率11%
・10BB(125%ベット)
8.5BB+10BB+10BB+30BB=58.5BB
10BB÷58.5BB=必要勝率17%
こんな感じで見込み次第にはなってきますが、大きく必要勝率が変わってくることで125%ベットに対してもコール出来てしまうのです。
ここは全て相手プレイヤー次第なのですが、仮にフラッシュ完成ボードになったとしても、トップペアが降りれない初心者などは非常に多いです。
今回はリバーで9♠が出た場合にこちらはフラッシュが完成、セオリーだとBBはチェックで手番を回して、COもただのワンペアなのでチェックバックしてショーダウンになるかと思います。
ほとんどの局面でそうなるのであれば、インプライドオッズは発生しないことになるので、ミスコールになってしまいますね。
もしコールされた場合、相手プレイヤーのとるアクションはフラッシュ完成以外、基本的には「チェック」です。
2発のベットに耐えた相手のハンドは、フラッシュ完成されている可能性が非常に高いので、自分のワンペアでは戦えず、ベットしてもコールされるだけですね。
ただ例えばフラッシュ完成して、リバー30BB以上のドンクベットを打ったとしても、トップペアだからと降りれないプレイヤーが多いのも低レート環境ではよくあることです。
もちろん上級者が集まる、ある程度慣れたプレイヤーばかりだとそう簡単ではないでしょうが、初心者相手にはこのようなインプライドオッズの考え方も重要になるのです。
ミスにより発生することが重要
インプライドオッズは見えない部分の獲得できるチップなので、正確には計算出来ませんし、普通はオッズ計算通りのプレイが推奨されます。
ですが無料アプリ環境やアミューズなどでは、感覚でやっているプレイヤーも多く、トップヒットやオーバーペアなどがかなり頑張る印象がありますね。
それがあるのでスーテッドハンド、スーコネなどの投機的なハンドはかなり参加しやすく、リンプに対して自分もリンプ、もしくはコールドコールで参加することも正当化されます。
ポジションや相手プレイヤーの傾向をしっかりと見た上で、どんなテーブルでも戦えるようになることが、個人的には大事かなと考えています。
これらの考え方は、相手がミスプレイ、損することを自らやっているように感じるとそれに対して自分のアクションを変えるエクスプロイトの一種と言えますね。
もしそのような分かりやすい、戦って勝てそうなプレイヤーとぶつかった際には、隠れたオッズも意識してアクションを組み立ててみてはいかがでしょうか。