ポーカーにおける「SPR」とは?考え方・計算方法

テキサスホールデムでは自分がPOTに対するスタック量を持っているかの計算「SPR」。

初心者にとっては全くわからない言葉ですし、感覚だけではまず理解することが難しいです。

実際に僕も数回色々な資料を参考に考えましたが、実践を続け改めてこのような記事を書かないと難しいほどでした。

今回はそんなSPRがどのような場面で使われる考え方なのか、詳しく解説をしていきます。

SPRとは?

SPR
SPRとは、Stack to Pot Ratio(スタックトゥポットレイシォウ)の略で、ポットのチップ量と自分の有効スタックの比率を意味します。

SPR=有効スタック÷ポットで計算され、この数字が小さくなるほどアクションが制限され、大きい場合は自由にアクションすることが出来ます。

このSPRが主に取り入れられるのは、どのくらいでチップを賭けていけば自分がオールインまで行くのかというコミットプランを立てるベットサイズを考えるときですね。

数字が小さくなるほど、激しいブラフ、ベットに対するリレイズなどの選択肢が無くなるで、特にスタックが少なくなるトーナメント後半などはしっかり意識してプレイする必要があります。

SPRの計算方法

SPR=POT額÷エフェクティブスタック

例1)POTに10BB、残りスタック30BB
SPR=30÷10=3

例2)POTに5000点、残りスタック5000点
SPR=5000÷5000=1

例3)POTに$5、残りスタック$100
SPR=$100÷$5=20

このSPRは当然ですが、フロップ・ターン・リバーとPOT額が増えていくにつれ変わってきます。

SPRが10以上など余裕がある状態だと全く気にしなくて良いのですが、SPRが1に近づくにつれオールインを考えないといけないので、考えなしに打ち過ぎることは注意しましょう。

SPRが高い状態の考え方・戦略

高い
SPRが高い状態とはスタックに余裕がある状態なので、あまり気にせずにプレイできる状況です。

例えばリングゲーム・キャッシュゲームでテーブルに座ったばかりだと、多くの場合100BB以上持った状態でスタートします。

バイインが50BB~200BBほどの幅で決まっていることがほとんどですが、有意義にプレイするためにも基本的には100BB以上持っていることが望ましいですね。

スタック量が少なくなるほど戦いにくくなることは間違いありませんし、相手からプレッシャーで降ろされる局面も増えてくるでしょう。

ただし200BB以上のディープスタックで戦う際、逆に大きくベットしすぎるのも良くありません。

しっかりとPOT額以内のベットを多めに使い、サイズとしてはPOTオーバーベットを混ぜて使う程度が多い気がしますね。

3BETPOTなど激しくぶつかり合う時以外はPOTオーバベットやオールインを多用することは無いかなと思っています。

ただ無料アプリやアミューズで打った感じ、あまりそんなこと関係なくガンガンPOTベットなどばかりするプレイヤーも多いので、それに便乗せずしっかりと自分のスタイルを持って本当に強いハンドの際だけ大きく戦うことをおすすめします。

SPRが低い状態の考え方・戦略

下がる
SPRが低い状態、自分のスタック量が少ない状態ではプレイが制限されるので注意が必要です。

本来テキサスホールデムでは、ブラフを含めて打ち合うことで相手のチップを奪うことが目的のゲームですね。

ですがスタックが少ない状態だとブラフを打つこともままならず、基本的にはプリフロップでオールイン、もしくはフロップ3枚みてオールインのいずれかになることが多くなります。

SPRが1以下になるとコミットした状態で、勝率が低いだろうと見積もってもほぼ全部入れることが正解になってしまいます。

逆にこのような状況はワンペアの価値が非常に高くなるので、トップペア・オーバーペアなどが完成した状態だとかなり戦いやすくなるでしょう。

ドロー系ハンドはそもそもブラフで相手を降ろすほどの余裕が無いため、かなり戦いにくいですし、打ち返すことも出来ないと勝率は極端に下がってしまいます。

プレイで差が出ないのであれば純粋にハイカードの強いほうが勝率は高くなる傾向にあるので、トーナメント終盤のオールインなどはA1枚やローポケでも非常に強くなるのです。

またSPRが5以下の状況は、少し打ち合うとコミットするので、相手のスタック量も考えてベットをすることで、無理やりコールさせ勝率の良い勝負をするようなテクニックも使える状況です。

SPRを考えるべき状況

あなたのハンド 相手のハンド
ボードのカード

では実際のハンドとボード、そして持ち点を考えながら見ていきましょう。

6人テーブル、キャッシュゲーム、UTGからのオープンレイズで、BTNがコールしてPOTには分かりやすく10BBが入った状況で考えていきます。

お互い50BB以上の状態

SPRは5以上、フロップでは小さなCBを打つ
POTより大きなサイズは使わない

まずはお互いのスタックに余裕がある状況ですが、トップヒット・グッドキッカーの状態はかなり強そうに感じますが、基本は小さく打っていくのがセオリー。

仮に大きく打っても相手のセット、ツーペアなどにしかコールされず、出来るだけ多くのハンド、7ヒットや4ヒットについてきて欲しいから控えめなサイズが推奨されます。

お互い30BBの状態

SPRは3、2発打つとほぼコミット
お互い判断が難しい状況

30BBと聞けばまだまだあるように感じますが、POTに対しての比率であるSPRが3の状態と考えるとかなりギリギリの状態。

例えば先ほどと同じように小さなCB3BBを打って、相手が10BBのレイズを打ち返してきた場合どうしましょうか?

当然トップヒットは強く、セット・ツーペア以外には負けてないのでコールしたい状況ですね。

ただもしコールした場合、お互いのスタックが20BBになり、POT額が30BBに膨れたので、SPRが約0.66となり1を切る状態になりました。

このように自分から小さく打つとコミットはしないのですが、相手のベットサイズ次第ではすぐにコミットする状況です。

相手もそれをわかった上で、例えばコミットを避けるため7ヒットやミドルポケットを降ろすことを目的に打ち返したかもしれませんよね。

因みにそのようなブラフパターンもあるため、このようなAJのハンドであればほとんどこの時点でリレイズオールインを選択するかなと思います。

どうせ降りられない状況になるのであれば、もうこの時点でオールインorフォールドに絞った方が良いということですね。

お互い10BBの状態

SPRは1、ほぼコミット
フロップでオールイン

トーナメントでも多いような10BB前後の例えば、なぜか3BBオープンをして相手がコールした状況など。

本来プリフロップ時点でオールイン入れることを推奨ですが、このような小さなスタックでもフロップ3枚を見に行くプレイは結構見かけます。

ですが、結局数回に分けてベットする余力がないため、ヒットしてもノーヒットでも、基本的にフロップが開いた時点でオールインするか否かを決める必要がありますね。

飛ぶのが嫌だからヒットしないとフォールドするような戦略が良いように見えますが、当然プリフロップでプッシュしてスチールした方がはるかに良いです。

基本的にオールインにはフォールドするほうが多め、小さなレイズやリンプインにはこれなら参加するかというプレイヤーが増えるのは当然です。

そして変なハンドにツーペア以上作られ負けることのほうが良くないので、十分に戦えるスタック量がない場合は当たり前ですがオールイン一択になるでしょう。

スタック量の把握が常に重要

チップ
テーブルに座っているプレイヤーのチップ量は常に変動しており、参加してぶつかる相手がどのくらい持っているかは必ず把握すべきことです。

オンラインでは数字で分かるので戦いやすいですが、ライブポーカーだと一瞬で把握することは非常に難しく慣れていかないといけません。

せっかくSPRについてしっかり考えていても、相手のエフェクティブスタック(ES)、そしてPOT額を把握しないとベットサイズ・オッズ計算・SPR全て曖昧な状況になってしまいますね。

個人的にはGTOによるプレイラインを考える以前の問題で、このような瞬時にスタック量を把握できる能力の方が大事ではないかと思っています。

麻雀を知っていると分かりやすいのですが、自分の手役だけをみるのではなく、全員の点数や状況を見た上でやるべき行動は変わってきます。

あくまでチップを奪い合うゲームですので、SPRの考え方も参考にして相手がどのようなプレイをするか想像しながら上手にベットすることを身に着けていきましょう。